前回の第3話も解説しているので、もしよかったらこちらから↓(1話、2話はありません…)最新話までのエピソードの解説もこちらで随時更新しております!
このブログは普段フランス料理の作り方などを紹介しているので、グランメゾン東京の解説も料理が中心になっていて、人間関係やストーリーなどの考察は行なっていないのでご了承ください。
その分料理の解説は結構濃厚にやっているので、このブログを読んだ後にもう一度グランメゾン東京を見返していただけるとより楽しめると思います!
モンブラン
鬼皮
鬼皮は栗の外側を包む分厚い硬い皮です。旨味や甘味はなく、渋みがあって硬いためそのものを食べることはできません。
なのでこの鬼皮を煮出すことで渋味と風味を抽出し、さらに焼いた鬼皮を使うことで香ばしさをプラスするという手段を取っていました。この煮出したものにグラニュー糖を加えてシロップ状にし、栗のペーストに加えられました。
引用:グランメゾン東京 第4話 2019年11月10日放送分 #GYAOスクリーンショット
この「捨てるはずだったもの(ここでは鬼皮)を使うこと」と、「焼いて香ばしさをプラスすること」はフランス料理ではよく使われる手法で、例えばコーンポタージュを作る際にはとうもろこしの芯を煮出して香りを抽出したり、とうもろこしを焼いて旨味を凝縮させると同時に香ばしさを足すという手法が取られることも少なくありません。
なのでこの捨てるはずの鬼皮を焼いて煮出すというのはとてもフレンチ的な考えであると言えます。
アマファソン
完成したモンブランの名前は「モンブラン・アマファソン」でしたね。
このアマファソンはフランス語で「a ma façon 」と書きます。「ma」は私の、「façon 」は道なので「私の道で」、つまり「私流の」という意味になります。
定義がしっかりした料理を再構築したりオリジナリティを加えたものにこの名前をつけることが多いですね。
細かな会話、用語
コンソメにグロゼイユ
松井萌絵(吉谷彩子さん)が試行錯誤の末完成させたモンブランをグランメゾン東京に持っていき試食した場面で、萌絵のモンブランを認めた直後に倫子(鈴木京香さん)と尾花(木村拓哉さん)が「コンソメどうする?」「もうちょっとグロゼイユ足した方がいい」という会話をしています。
グロゼイユとは赤すぐりとも呼ばれ、粒の小さいベリーのような果実です。
このコンソメは前回の第3話で詳しくやっていて、グロゼイユを加えている描写はされていませんでした。しかし今回の会話でグロゼイユも加えていることがわかりました。
なぜこのグロゼイユが重要なのか…
3話の解説記事でも書きましたが、鹿肉にはソース・ポワブラードとその派生のソース・グランヴヌールというソースを合わせるのが定番です。
その2つのソースをもとにコンソメに血を入れるというアイデアを思いついたわけですが、ソースグランヴヌールは、鹿などのジビエの出汁、血、グロゼイユを使ったソースです。
このコンソメも同じく鹿のスジから取った出汁と血、グロゼイユを使っているので、このコンソメはソースグランヴヌールがベースになっているということがはっきりわかりました。
ノワゼット
引用:グランメゾン東京 第4話 2019年11月10日放送分 #GYAOスクリーンショット
プレオープンが終わった後に尾花と相沢(及川光博さん)が会話している場面で、尾花が「(萌絵が作ったクリームより)俺らが作った方が美味しかった、ノワゼット入れてるし」と発言していました。
ノワゼットとはヘーゼルナッツのことで、尾花たちは試行錯誤して萌絵たちよりも一歩進んでヘーゼルナッツを加えるというアイデアまで試していたことが判明しました。
また、上の写真のボウルの中のクリームにはヘーゼルナッツの粒々がないため、ペーストにして加えたものだと思われます。
クルスティアン
プレオープンのコースの中でナスのプレッセを出すときに倫子が「クルスティアンの準備できてる?」と言っています。
クルスティアンとは「カリカリした」という意味で、パリッとした食感のある料理に使われる名前です。
この場合はおそらく第2話で描かれていた、ナスのプレッセの上下をサンドしている「チョコの生地」ではないかと思われます。
ドレッセ
プレオープンのコースの場面で時々出てくる「ドレッセ」という言葉は盛り付けのことを指します。
フランス料理店の厨房ではフランス語の調理用語、作業用語を使うことが多々あるので、このドラマの中でも回が進むにつれて他の用語も出てくると思います。
コース
コース順
フレンチのコースの流れを大雑把に紹介すると、
①アミューズ(一口で食べられるおつまみ、お通しのようなもの)→ ②前菜 →③スープ →④魚料理 →⑤肉料理 →⑥デザート、の順で提供されます。
アミューズや前菜は少量ずつ複数品ある場合もあり、そういったコースを「デギュスタシオン」と呼んだりもします。
今回の第4話のコースに当てはまると
①アミューズ(Amuse)
- ジロール茸とひもとうがらしのサブレ
②前菜(Entrée アントレ)
- 山羊の乳のババロア
- 茄子と白レバーのプレッセ
- モンサンミッシェルのムール貝の冷製スープ
- きのことホッキ貝のヴォル・オ・ヴァン
- 牛の胃袋のグリエ
③魚料理
- 雲丹のグラティネ
④肉料理
- 本州鹿ロース肉のロティと血液を使ったコンソメ
⑤デザート
- メレンゲのアイスクリーム
- モンブラン・アマファソン
となります。スープはムール貝の冷製スープが前菜扱いになっていました。
またデザートが2品あるのを疑問に思う方もいると思いますが、フレンチのコースではデザート(フランス語でデセール)の前に「アヴァン・デセール」という、比較的軽いデザートがあり、その次にしっかりとしたデザートが提供されます。
なのでメレンゲのアイスクリームはアヴァン・デセールとして軽めのデザートの立ち位置で提供されているものと言えます。
また、第3話では鹿肉はもも肉を使っていましたが今回はロース肉になったようですね。
山羊の乳のババロア
ババロアは甘いものというイメージがありますが、デザート的な甘いものではなくフレッシュチーズのような料理です。
実はこのドラマの料理を監修している岸田シェフのミシュラン三つ星のお店、「カンテサンス」で実際にスペシャリテとして提供している料理です。
ムール貝の冷製スープ
引用:グランメゾン東京 第4話 2019年11月10日放送分 #GYAOスクリーンショット
上の画像に材料が書いてありますが、「蛤のジュ」が分かりにくいと思います。
「ジュ」とは食材から出た水分のことで、その食材からとった軽めの出汁のこともジュと呼びます。
蛤のジュはおそらくハマグリを火にかけて白ワインや水で蒸して取った出汁のことではないかと思います。
この蛤のジュは第1話のエスコフィユでのアレルギーが物質混入した雲丹の料理にも使われている描写がありました。
きのことホッキ貝のヴォル・オ・ヴァン
引用:グランメゾン東京 第4話 2019年11月10日放送分 #GYAOスクリーンショット
こちらも1枚目の写真で材料が載っていますが、冷製スープでは蛤のジュ、こちらでは蛤の出汁と書いてあります。
ジュも出汁も似たようなものなのでドラマの中ではどんな違いがあるかはわかりません。ホッキ貝を使っていることから同じ貝である蛤の旨味を足す目的で使っていると思われます。
ヴォル・オ・ヴァンとは容器に見立てたパイ生地に料理を詰めたもののことで、見た通りの料理となっています。
雲丹のグラティネ
引用:グランメゾン東京 第4話 2019年11月10日放送分 #GYAOスクリーンショット
この料理は雲丹の身を殻から外さず下処理し、みじん切りにした複数の食材を雲丹の上にのせ(写真1枚目)、上からソースをかけて表面にだけ焼き色をつけた料理だということがわかります。
焼き目をつけたソースは2枚目の写真を見ると湯煎しながら泡だてていることがわかるので、暖かいサバイヨン系のソースだと推測できます。
サバイヨンとはマヨネーズやオランデーズソースのように卵黄に油を少しずつ加えてもったりさせたソースです。
このソースを雲丹に乗せて「サラマンダー(サラマンドル)」と呼ばれる上火だけのオーブントースターのような調理器具で焼き目をつけています。
料理名にあるグラティネとはこの表面にだけ焼き色をつけることを指し、わかりやすい例がグラタンです。
ソースの表面にしか火は通っていないので、ウニは生の状態でしょう。
メレンゲ
引用:グランメゾン東京 第4話 2019年11月10日放送分 #GYAOスクリーンショット
メレンゲのアイスクリームはそのままメレンゲを使ったアイスですのであまり説明はありません。塩分濃度の濃い塩水を霧吹きでかけていることも説明されていました。
このアイスクリームの卵のような形、これは「クネル」と呼ばれ、フランス料理店でアイスやソルベは大体この形で出てきます。
これはスプーン一本で形をつくることができます。写真2枚目では尾花がスプーンの底を手に当てていますが、これは体温でアイスを少しだけ溶かしてスプーンから離れやすくするための動作です。
フランス語
《フェリスタシオン》
リンダ(冨永愛さん)がgaku に行き丹後シェフ(尾上菊之助さん)に向かって言うセリフです。これは「おめでとう!」という意味で「Félicitations」と書きます。
《ダコー》
プレオープンのコースの中で柿谷がいなくなったことに気づき、倫子にウニをやるようお願いされたときに相沢が言ったセリフです。ダコーは「d’accord 」と書き、「了解、オーケー」という意味の言葉です。
《オ・ラ・ラ》
これは「d’accord」の直後に冷蔵庫に向かった相沢が処理していないウニを発見した時の言葉です。「oh la la」と書き、「あらまあ!」という意味です。このシーンでのニュアンスとしては「うわ!マジかぁ!」って感じでしょう。
《アレ》
リンダに萌絵がモンブランの評価を聞きに行くときに、戸惑っている萌絵に対して尾花が小声で「アレ、アレ!」と言っていました。アレは「行く」の命令形なので「行け」という意味になります。この場合では「行け!早く!」といった感じでしょう。
《セ・マニフィク》
リンダがグランメゾン東京を去るときに行っていたセリフで、「c’est magnifique」と書き、「素晴らしい」という意味です。
《ガストロノミー》
こちらはセリフというかリンダが書いた生地に出てきた単語です。
ガストロノミーとは「美食」のことで、高級レストランをガストロノミーと呼んだりもします。
その他
包丁屋さん
引用:グランメゾン東京 第4話 2019年11月10日放送分 #GYAOスクリーンショット
芹田と尾花が包丁を買いに行くシーンがありますが、このロケ地は東京合羽橋にある「つばや包丁店」です。
このお店は国内外でかなり有名で、外国のシェフも包丁を買いに来るほどのお店です。
次回予告のカレー
引用:グランメゾン東京 第4話 2019年11月10日放送分 #GYAOスクリーンショット
次回予告で尾花が「カレーやるぞ!」といい、周囲が驚いているシーンがありました。普通に考えたら三つ星レストランでカレーなんて想像できないですよね?
しかし実際ミシュランの星がついているお店でカレーを提供する話があるのです。
「東京グランメゾン・チャリティカレー」という名目で、東京のフレンチレストランで1,000円でカレーを売り、その売り上げをチャリティに寄付するというものです。
詳しくはこちらから↓
なので次回はチャリティではないと思いますが、このチャリティカレーから着想を得たストーリーになるのではないかと思われます。
今回はこれで以上です!!最後までお読みくださりありがとうございました!
これからも回を追うごとに最新エピソードまでの解説をこちらのページで随時投稿していきたいと思います!