今回はグランメゾン東京第3話の料理の解説をしていきたいと思います。
以前Twitterでグランメゾン東京を料理視点で解説したら結構好評だったので、ブログにまとめました!
文字制限がないのでTwitterよりも詳しく自由にまとめていますので読んでみてください!!
4話の解説はこちらでしてるのでよろしければ!↓
試作時に貼ってあった紙
調理法
引用:グランメゾン東京 第3話2019年11月3日放送分 #GYAOhttps://gyao.yahoo.co.jp/episode/%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%A1%E3%82%BE%E3%83%B3%E6%9D%B1%E4%BA%AC%20%E7%AC%AC3%E8%A9%B1%E3%80%802019%E5%B9%B411%E6%9C%883%E6%97%A5%E6%94%BE%E9%80%81%E5%88%86/5dbeb793-2dc1-4894-83b7-9818de3007ceスクリーンショット
試作の段階で各調理法を試す場面で壁に貼ってある紙に6つの調理法が書いてあります。
- ロティ
- 炭火
- コンフィ
- フュメ
- 真空
- 低温調理
が書かれていました。
《ロティ》
ロティはフランス語でローストのことで、お肉や魚をフライパンで焼いて香ばしい焼き色をつけた後に180度前後のオーブンに入れて火を通す調理法です。
《炭火》
お肉を網の上に乗せて七輪などで炭火焼にします。炭火の香りも付きますし炭の消臭効果で臭みを取る効果もあるようです。ブロック肉などの厚みのあるお肉は休ませながら余熱も使ってじんわり火を通します。
《コンフィ》
コンフィは低温の油の中で長時間かけてゆっくりと火を通す調理法です。
元は保存目的で使う調理法ですが、現代では硬くなりやすい食材を柔らかくするために使います。ジビエも比較的硬くなりやすいのでこの調理法を試したのでしょう。
《フュメ》
フュメは薫製のことで、ここではフュメドポワソン(魚の出汁)ではありません。
薫製も元は保存食ですが、ジビエなどの匂いの強い食材に使うことで臭みを消すことができます。
《真空》
お肉などの食材を真空パックして低い温度のお湯で湯煎して火を通す調理法です。真空低温調理とも呼ばれ、湯煎する湯の温度を一定に保つ必要があるので、温度をキープする「低温調理器」というものもあります。
《低温調理》
ここでは真空低温調理とは違い、低く温度を設定したオーブンでじっくり火を入れる手法です。詳しくは次の章で書きます。
低温調理
引用:グランメゾン東京 第3話 2019年11月3日放送分 #GYAOhttps://gyao.yahoo.co.jp/episode/%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%A1%E3%82%BE%E3%83%B3%E6%9D%B1%E4%BA%AC%20%E7%AC%AC3%E8%A9%B1%E3%80%802019%E5%B9%B411%E6%9C%883%E6%97%A5%E6%94%BE%E9%80%81%E5%88%86/5dbeb793-2dc1-4894-83b7-9818de3007ceスクリーンショット
低温調理の部分が拡大して映った場面では、一番左のを例にすると「キュイ3min、ルポゼ3min ×10」と書いてあります。
キュイはキュイソン(cuisson)のことで火入れを意味します。ルポゼはオーブンから出して寝かせて余熱で火を通す手法です。×10というのはこれを10回繰り返すということです。
つまり3分間オーブンに入れる→オーブンから出して3分間余熱→再び3分間オーブン〜…と繰り返すことでじわじわ火を通す手法です。
ゆっくりと火を入れることでお肉を柔らかく、肉汁を流出させないようにするという効果があります。
ただこの手法だと香ばしい焼き色がつかないので、繰り返しオーブンと余熱で火を通した後にフライパンでサッと焼き色をつけます。ドラマでもそんな描写もありましたしね。
ソース
第3話中盤で早見倫子(鈴木京香さん)が悩んだ末に「ポワブラードソースがいいんじゃないか?」と提案します。
そして相沢瓶人(及川光博)が「それはもう試した、グロゼイユを加えてソース・グランヴヌールもやった」と答えていました。これは結果的に血を使ったコンソメのアイデアのもとになりましたね。
このソース・ポワブラードとソース・グランヴヌールについてです。
ソース・ポワブラードは鹿肉に使われる定番のソースで、ジビエのフォン(ダシ)やワインを加えて胡椒を効かせ、豚の血を加えたソースです。
このソース・ポワブラードにグロゼイユ(赤すぐり)のピューレを加えるとソース・グランヴヌールになります。
鹿肉といえばポワブラードかグランヴヌールが浮かぶほど定番のソースとなっています。
血を使った料理
普通料理に血を使うと言うとギョッとしますが、フレンチでは血を使った料理は珍しくありません。
ブーダンノワールという豚の血を混ぜたソーセージもありますし、前述したようにソースに血を使うこともあります。
コンソメ
コンソメは今は顆粒のものが有名ですが、フランス料理におけるコンソメは完成された、かなり手間のかかるスープです。
澄んでいることが条件で、より旨味が強くて澄んでいるコンソメを取るべく料理人はあの手この手で美味しいコンソメを取る努力をしています。
通常は香味野菜と挽肉、卵白をブイヨンに加えてアクや雑味を吸着させて澄んだコンソメにします(これをクラリフィエと呼びます)。
挽肉や卵白のタンパク質がアクを吸着する作用があるのですが、グランメゾン東京第3話では鹿の血にもタンパク質が含まれているため、鹿の野性味を加えるとともにアクを吸着させるために卵白の代わりにコンソメに加えて澄ませようとしているのです。
このブログでは過去にコンソメの取り方を紹介したのでよろしければ↓
Gakuの料理
引用:グランメゾン東京 第3話 2019年11月3日放送分 #GYAOhttps://gyao.yahoo.co.jp/episode/%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%A1%E3%82%BE%E3%83%B3%E6%9D%B1%E4%BA%AC%20%E7%AC%AC3%E8%A9%B1%E3%80%802019%E5%B9%B411%E6%9C%883%E6%97%A5%E6%94%BE%E9%80%81%E5%88%86/5dbeb793-2dc1-4894-83b7-9818de3007ceスクリーンショット
ジビエコンテストのgaku 側のメニューは鹿肉のタルタルでした。
タルタルは細かくカットした食材を使う料理で、タルタルソースを想像してもらえるとわかりやすいですが、タルタルソースは細かくした玉ねぎやピクルスをマヨネーズと和えているものです。
なので「鹿のタルタル」は細かくした(ドラマでは細切りでしたが)鹿肉にオイルや塩などを和えたものです。
それを半分に切ったセップ茸に乗せた料理でしたね。ちなみにセップ茸はポルチーニのことです。
また、上の写真に「スモークしたかんずりのオイル」と書いてありましたが、かんずりは新潟県の唐辛子を使った発酵調味料で、雪の上に唐辛子をさらしてアクを抜くという伝統的な製法が有名です。
メニューの名前
引用:グランメゾン東京 第3話 2019年11月3日放送分 #GYAOhttps://gyao.yahoo.co.jp/episode/%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%A1%E3%82%BE%E3%83%B3%E6%9D%B1%E4%BA%AC%20%E7%AC%AC3%E8%A9%B1%E3%80%802019%E5%B9%B411%E6%9C%883%E6%97%A5%E6%94%BE%E9%80%81%E5%88%86/5dbeb793-2dc1-4894-83b7-9818de3007ce
この中でイマイチピンと来なさそうなのは
- ナスと白レバーのプレッセ
- きのことホッキ貝のヴォル・オ・ヴァン
- 牛の胃袋のグリエ
- 雲丹のグラティネ
ですかね。
《ナスと白レバーのプレッセ》
これは第2話でメインテーマとして触れられていましたが、少し説明を。
白レバーとは鶏の脂肪肝のことで、鶏版のフォワグラみたいなものです(フォワグラほどの脂っこさではありませんが)。
またプレッセは「押したもの(プレス)」で、ナスと白レバーを重ねて上からプレスした料理でした。
《きのことホッキ貝のヴォル・オ・ヴァン》
ヴォル・オ・ヴァンはパイ生地を器のようにした料理で、この料理は火を通したきのことホッキ貝を、焼いたパイ生地のケースに詰めた料理ではないかと推測できます。
《牛の胃袋のグリエ》
牛の胃袋は4つあり、ミノ、ハチノス(トリッパ)、センマイ、アギラのどれかですね。ちょっと見た感じミノっぽいかな…?
グリエとはグリルで焼いたもののことで、網目状の焦げ目が開きます。
《雲丹のグラティネ》
グラティネはトロミのあるソースをかけて表面に焼き色をつける調理法です。
レストランでは「サラマンダー(サラマンドル)」という、上火だけのオーブントースターのような調理器具で焼き色をつけます。簡単に言うとグラタンですね。
今回の解説は以上です!最後までお読みくださりありがとうございました!!
また回を追うごとに更新していければと思っていますのでよろしくお願いします!!
4話の解説はこちらからどうぞ!↓