今回はスズキのパイ包み焼きをご紹介します!
「スズキのパイ包み焼き ソース・ショロン」といえばフランス料理界の偉大なシェフ、ポール・ボキューズさんのスペシャリテとして有名ですね。ボキューズシェフはクレーム・ブリュレを生み出した方としても有名ですが、このパイ包みも彼を代表する料理のひとつです。
サクッとしたパイ生地にふわふわのスズキの身、酸味とコクのあるソースの相性は抜群です!
このボキューズさんのスズキのパイ包み、本来は頭から尻尾までついた丸々一匹のスズキにパイ生地を被せ、魚のウロコや顔などの模様をつけて焼くのですが、それだと結構な人数分できてしまったり、大きすぎてしまったりするので、今回は作りやすいような形にしたものをご紹介します!
材料
スズキのパイ包み
- スズキの切り身(ムース用)・・・150g
- 生のエビ(赤海老等)・・・80g
- 塩・・・2g
- 卵白・・・1個分
- 生クリーム・・・70g
- スズキの切り身・・・150g
- パイ生地・・・2〜3枚
- 卵黄(ドリュール、艶出し用)・・・一個
ソース・ショロン
- エシャロット ・・・約10g
- 白胡椒 ・・・10粒くらい
- エストラゴンビネガー ・・・30g
- 白ワイン ・・・50g
- 澄しバター ・・・60g
- 卵黄 ・・・1個
- イタリアンパセリ・・・3〜4本分くらい
- セルフィーユ ・・・3〜4本分くらい
- フレッシュのエストラゴン(あれば)3〜4本分くらい
- 生トマト ・・・2個
- オリーブオイル ・・・少量
- 塩 ・・・適量
エストラゴンビネガー
このベアルネーズソースはエストラゴンが入っていることが大きな特徴となるので、なるべくエストラゴンビネガーまたはフレッシュのエストラゴンを使いたいところです。ビネガーは高級スーパーや輸入食品店なら置いてると思います。
エストラゴンビネガー
作り方
パイ包み焼き
まずは魚のムースから作っていきます。
プロセッサーにスズキ(ムース用の方)とエビを入れ、ミンチ状になるまで回します。
粗方ミンチ状になったら卵白、生クリーム、塩を入れて再びフードプロセッサーで滑らかになるまでよく回します。
なめらかになったら絞り袋に入れて置きます(口金は無くて構いません)。
ムースにしない方のスズキには両面に軽く塩(分量外)を振り、10分程置いて塩を浸透させます。置いておくと切り身の表面に水分が出てくるので、ペーパーでよく拭き取っておきましょう。
冷たい状態のパイ生地を2枚、麺棒で少し薄めに伸ばしておきます。片方は上から被せるので、ひと回りほど大きめに伸ばしておきましょう。
パイ生地は常温に置いておくとデロデロになってしまい、破けやすくなったり綺麗な焼き上がりにならなかったりするので、必ず使う直前まで冷やしておきましょう。
小さい方のパイ生地の真ん中に先ほどの魚のムースを絞っていきます。パイ生地の縁の部分は後で接着部分になるので少し空けておきましょう。
ムースの上にスズキの切り身を乗せます。
ムース→スズキの切り身→ムース→切り身と交互になるように重ねます。
卵黄に少量の水を加え軽く混ぜ、この卵液をパイ生地の縁の部分にハケで塗ります。これがパイ生地同士をくっつける接着剤の役割になります。
ひと回り大きく伸ばした方のパイ生地を上から被せて包んでいきます(このパイ生地も使う直前まで冷蔵庫で冷やしておきましょう)。
中に空気が入ってしまうと焼いた時に破裂してしまう場合があるので、ムースや切り身部分にパイ生地が密着するように空気を抜きましょう。
もし空気が入ってプクッとした部分があれば竹串等で穴を開けてしまっても大丈夫です。
下のパイ生地と上のパイ生地が重なっている部分にフォークをぎゅっと押しつけてキッチリと接着します。
周りの余計な部分は切り取って形を整えたら、ラップをして冷蔵庫で30分ほど冷やしておきます。
包んでいる間にパイ生地が手の温度や室温で温まって、柔らかくなってしまっているので、冷蔵庫で冷やして締めてあげることで、綺麗に焼き上がります。
冷やしている間にオーブンを200℃に予熱しておきましょう。
パイ生地がしっかりと冷えたら、先ほどの卵黄液を表面に満遍なく塗ります。
予熱したオーブンにパイ包みを入れ、15分程火を入れます。
この加熱でパイ生地に焼き色をつけたので、次は温度を180℃に下げて中のムースや魚に火を通していきます。
5〜10分ほど焼いたらオーブンから取り出し、オーブンの上や近くなどの温かいところに少し置いて予熱を入れてあげます。
ソース・ショロン
次にソースを作っていきます。
ソース・ショロンはスズキのパイ包み焼きに合わせるのに定番の、クラシックなソースです。卵黄とバター、ハーブなどを使った、コクと香りのあるソースです。
エシャロットはみじん切りにし、白胡椒はよく潰しておきます。白胡椒は袋に入れて鍋の底で押しつぶしたり、綿棒なんかでバンバン叩けば細かく潰せます。
今回使うエストラゴンビネガーです。エストラゴンというハーブを白ワインビネガーに漬け込んでいるもので、ちょっと甘いような独特な香りがあります。
このエストラゴンが入るのがソースショロンの大きな特徴です。
鍋にみじん切りのエシャロット、潰した白胡椒、白ワイン、エストラゴンビネガーを入れて弱火にかけてゆっくり煮詰めていきます。
↑の写真のように、水分がほとんどなくなるくらいまでガッツリと煮詰めましょう。
このように香味野菜とワインなどを煮詰めたものをフランス料理では「レデュクション」と呼び、ソースのベースなどに使うことがよくあります。
ちゃんと煮詰まったら火を止めて粗熱を取っておきましょう。
ボウルに卵黄を入れて軽くほくじ、レデュクションと塩ひとつまみを加えて混ぜ合わせます。
ボウルを湯煎してソースを作るので、鍋に湯煎するためのお湯を用意します。
ゆで卵などを見ればわかる通り、卵は火を通すと固まります。急激に温めると一気に固まり、緩やかに火を通すと緩やかに固まっていきます。
一気に固まると卵がボソボソになりやすいので、このソースを作るときは緩やかに火を通すために湯煎の温度を高くなりすぎないようにすることが重要です。
お湯が沸騰している状態では温度が高すぎるので、水面がボコボコしない程度の状態で湯煎します(70℃くらい)。
ボウルを湯煎しながらよく混ぜていき、じんわりと火を通していきます。
徐々に卵黄にとろみがついてきたら、澄ましバター(溶けている状態)を糸のように細く垂らしながら泡立て器で混ぜ込んで乳化させていきます。
卵がちょっと固まってきそうだなーと思ったらちょっと湯煎から外してソースの温度を下げつつ、澄ましバターを少しずつ混ぜ込んでいきましょう。
ここで湯煎しすぎて卵が固まってしまったり、澄ましバターを一気に加えたりしてしまうとソースが分離してしまうので注意です。
澄ましバターを全て加えるとソースがマヨネーズ状になるのですが、もし緩かったらもう一度湯煎にかけて硬さを調節しましょう。
できたらシノワや目の細かいザルで濾してエシャロットや胡椒の粒を取り除きます。エシャロットや胡椒の味や香りはもうソースに移っているので。
濾すとなめらかなソースに仕上がります。
今回使うハーブはセルフィーユとイタリアンパセリです。本当はエストラゴンも加えるといいのですが、今回手に入らなかったので省略しています。
このハーブ類の葉っぱだけをみじん切りにしてソースに加えます。
ちなみにこういったハーブをみじん切りにしたものをフランス料理の世界では「フィーヌ・ゼルブ」と呼んだりします(ハーブの種類に関わらず)。
専門書なんかにもいきなりこういう単語がポンと出てくることがあるので、覚えておいて損はありません。
このソースはバターの割合が多めのソースなので、冷めてくるとだんだん硬さが出てきます。粗熱が取れたら硬さをみて、もしモッタリしすぎてたらほんの少しだけぬるま湯を加えて調整しましょう。
次にトマトソースを作っていきます。湯むきして中の種を取り除いたトマトを粗めの微塵切りにします。
オリーブオイルを少量入れた鍋に刻んだトマトを入れ、弱火でゆっくりと火を通していきます。ここで塩をほんの少しだけ振ります。
塩を入れると浸透圧でトマトから水分が出てくるので、トマトから出てきた水分でトマト自身を軽く煮るようなイメージで火を入れていきます。
火が入ってくるとトマトが煮崩れてきてだんだんとソースらしくなってきますので、そこから鍋を傾けても水分が滴ってこないくらいまで煮詰めていきます。
ある程度煮詰まったらトマトソースはこれで完成なので、ソースと混ぜる前に少し置いておき粗熱をとっておきましょう。
最後にソースとトマトを混ぜ合わせ、もしソースが固ければほんの少しだけ水を加えて伸ばして固さを調整し、味を見ながら塩で味を調えて完成です!
これで「スズキのパイ包みとソースショロン」の完成です!
サクサクのパイ生地にフワッと火の通った魚、酸味とコクのあるソースが合わさってとても美味しいので、ぜひ作ってみてください!
今回も最後までお読みくださり、ありがとうございました!
エストラゴン(フレッシュ)
エストラゴンビネガー
エシャロット