今回はグランメゾン東京第8話より、料理の解説をしていきたいと思います!
今回もドラマのストーリーではなく料理や専門的なことにスポットライトを当てて解説していきます!
解説なので少しネタバレを含んでいるので、ネタバレしたくない場合はご遠慮お願いします…
また、過去のエピソードやモンブラン・アマファソンの再現レシピ、最新エピソードの解説はこちらで紹介、随時更新していくのでよろしければ!⬇︎
ビーフシチュー
大まかな作り方
引用:グランメゾン東京 第8話 2019年12月8日放送分 #GYAOスクリーンショット
まずメインとなるお肉(ここでは牛タン)をフライパンで焼いてビシッと焼き色を付け、同じく焼き色をつけた香味野菜と一緒に鍋に入れて水や赤ワインで煮込みます。
二枚目の写真の「ミルポワ」とは香味野菜のことで、基本的にセロリ、玉ねぎ、人参が使われることがかなり多いです。この香味野菜を炒めるときに小麦粉も一緒に炒めることで、煮込む煮汁にとろみをつけることができます。
また、お肉や香味野菜に焼き色をつけるこのは香ばしい香りをつけるのとともに、ソースを綺麗に茶色く色付ける効果もあります。
牛タンが柔らかくなったら煮汁から牛タンを取り出し、煮汁は濾して香味野菜などを取り除き、とろみがつくまでしっかりと煮詰めていきます。
取り出した牛タンと煮詰めたソースは別々に保存しておき、オーダーが入ってから一緒に温めて完成です!
また、2枚目の写真の材料の欄に牛すじ肉とありますが、牛タンだけでなく牛すじも一緒に煮出すことで牛肉の旨味をより強く出そうとしているのだと思われます。
同じく材料の欄にドライトマトとベーコンもあります。通常こういう煮込み料理にはトマト缶やトマトペーストを使いますが、乾燥させて旨味が凝縮したドライトマトを使って旨味を重ね、さらにベーコンで豚の旨味と薫製の香りをつけているのでしょう。
ベーコンは赤ワイン煮込みの付け合わせに使われることが多々あり相性はいいので、このビーフシチューではベーコンの味をソース自体に組み込むという工夫をしたのでしょう。
ちなみに付け合わせは左からクレソン、ブロッコリー、芽キャベツ、プチトマト、にんじん、アスパラガス(多分)です。
その他
引用:グランメゾン東京 第8話 2019年12月8日放送分 #GYAOスクリーンショット
付け合わせのにんじんですが、ラグビーボール型に面取りされています。
これはフランス料理では古典的な剥き方で、「シャトー剥き、またはココット剥き」と呼び、現代的な料理ではあまり使われませんがクラシックな料理や、日本の洋食屋さんなどでは使われることが多々あります。
シャトー剥きとココット剥きの違いは大きさで、シャトーよりも少し小さいものをココット剥きと呼びます(ここで使われているのはおそらくココットでしょう)。
ちなみに尾花と潮が「浪漫亭」で話しているシーン(潮が倒れる直前)では尾花がこのココット剥きをしています。
ビーフシチューではないですが、似たような「牛肉の赤ワイン煮込み」の作り方はこちらで紹介していますのでよろしければ!⬇︎
ディナーコースへの工夫
引用:グランメゾン東京 第8話 2019年12月8日放送分 #GYAOスクリーンショット
上の写真はハマグリの出汁に塩分計を入れているシーンです。
塩分計は料理の塩分濃度を測る機械で、画像では1.1%の値を示しています。
人間がちょうどいいと感じる塩分濃度の基準は大体1〜1.2%と言われています。なのでこのハマグリの出汁は多くの人にはちょうどいい塩分濃度となっているのです。
尾花の師匠の潮は味覚障害で塩気を強く感じてしまうと言われているため、この塩分濃度だとかなり塩辛く感じてしまうのでしょう。
引用:グランメゾン東京 第8話 2019年12月8日放送分 #GYAOスクリーンショット
次に生ハムですが、生ハムってそのまま食べると味覚に異常がない人でも少ししょっぱく感じますよね。
尾花はこの生ハムを薄くスライスした大根で挟んで寝かせていました。
大根は水分が多いので生ハムの塩気が大根に染み込み、結果生ハムの塩気を抜くことができたのです。
また、「潮は退院したてだから消化にいい工夫もした」とも言及されていましたね。
大根にはジアスターゼという消化を良くする酵素が含まれているので、大根で挟むことで消化を良くするという目的もあったものと思われます。
引用:グランメゾン東京 第8話 2019年12月8日放送分 #GYAOスクリーンショット
潮に山羊のミルクのババロアを提供するとき、塩は別盛りで提供されていました。
過去のエピソードではこの山羊のババロアは「塩とオリーブオイルが主役の料理」と説明されていました。なのでこれには質の高いお塩が使われていることがわかります。
これを提供した京野はフルール・ド・セルと説明しています。
塩田に海水を撒いて塩を取り出す伝統的な手法で作られる塩の中で、撒いた海水から一番最初に結晶化した希少な塩のことをフルール・ド・セルと呼びます。
このフルールドセルは旨味が強く、塩気が強くなりすぎずに食材の邪魔をしない質の高いお塩として有名です。中でもフランスのゲランドで作られる塩はブランドとして名高いです。
フランス料理では仕上げに旨味を引き出すためにパラっと振りかけることが多々あります。詳しくはこちらで解説しているので気になる方はどうぞ!⬇︎
お客様によって料理を変える
今回の話の要になっているのが、「お客様に合わせた料理、サービスをする」というものでした。
普通の居酒屋やビストロ(カジュアルめなお店)では単品で好きな料理を選んで注文する、ア・ラ・カルトという形式を取っているので、お客は自分の好みで料理を食べることができます。
しかしグランメゾン東京のようなおすすめコース一本勝負のお店は(浪漫亭のようなほぼビーフシチューしか出ないお店もですが)、お客様が選ぶのではなく決まったものが出てくるので、アラカルトよりも選択の自由度は減ってしまいます。それなのにお客様に好みや要望を聞かずにただ料理を出すだけのグランメゾン東京に潮は呆れてしまったのでしょう。
お店側が選んだワインを飲んでもらう「ペアリング」を潮が断ったのも同様にお客様本位でないことが原因でしょう。
最近ではコースを注文するお客様に対して苦手な食材を聞いたりその他要望を受け付けるお店が結構増えてきている印象があります。
このドラマの料理を監修しているフランス料理の三ツ星店、「カンテサンス」はお客様によって料理を変えることで有名で、お客様の要望などを聞きながら、一度来たお客様にはコース料理のスペシャリテ(その店を代表するような特別な料理)以外は全て料理を変え、毎回違う料理を味わってもらうことを心がけています。
そんなお店が監修しているドラマなので、お客様を大切に!という今回のエピソードができたのでしょうね。
その他
包丁ケース
引用:グランメゾン東京 第8話 2019年12月8日放送分 #GYAOスクリーンショット
最初に潮がグランメゾン東京に来た場面で、尾花が持っているコレ(上の写真の物)は、包丁ケースです。見た感じ革製ですかね…?
料理人が包丁を持ち歩く時は、アタッシュケース型の包丁ケースか、尾花が持っているような布巻き型のケースを使うことがほとんどです。
この布巻き型のケースは内側にポケットがあり何本も包丁を収納することができるようになっています。
もし気になる方はこちらから見てみてください!⬇︎
3番テーブルってどこ?
尾花が浪漫亭でランチ営業をしている場面で、
尾花「これ3番テーブルね!」
京野「はい、 …3番テーブルってどこ?」
という会話をしている場面がありました。
テーブルの番号はお店によって違うのでいきなり言われてもわからないのは当然ですね(笑)
フランス料理に限らずほぼ全てのレストランではテーブル番号(卓番とも)がありますが、フランス料理店では大体テーブル番号をフランス語で発音します。
1番テーブルなら「アン、またはアス」、2番なら「ドゥ」、3番なら「トロワ、またはトワ」と呼び、料理が完成したらホールの人に「これドゥ(2番)にお願い!」と言ったりします。
またこれにアルファベットをつけるパターンもあり、「A1」、「B3」と表示することもあります。
フランス語では「A、B、C」はそれぞれ「アー、ベー、セ」と発音するので、「A 1」だったら「アーアス」と言ったりします。
相沢のフランス語
毎回ちょこちょこフランス語を挟んでくる相沢ですが、今回も言ってましたね。
グランメゾン東京で2度目の来訪の潮に料理を作っているシーンで尾花に物を渡すときに「ヴァワラ」と言っていました。
「ヴァワラ」は「voilà」と書きます。これは結構色んな意味がある言葉で「あそこに(〜がある)」、だったり、「ほらね!」などの意味もありますがここで相沢が使ったのは「はい、どうぞ!」という意味になります。
シチュエーションやトーンで意味が変わってくるのでちょっと難しい言葉ですかね…
包丁屋さん
引用:グランメゾン東京 第8話 2019年12月8日放送分 #GYAOスクリーンショット
尾花と師匠の潮が包丁を選んでいた回想シーンで出てくるこの包丁屋さんですが、過去のエピソードで尾花と芹田が包丁を買いに来たお店と同じですね!
ここは東京かっぱ橋道具街にある「つばや包丁店」というお店で、海外の星付きレストランのシェフも買いに来るほど国内外で有名な包丁の老舗です。
今回の解説は以上です!最後までお読みくださりありがとうございました!!
過去のエピソードやモンブラン・アマファソンの再現レシピなどはこちらで紹介しています!随時最新話の解説も更新していくので見てみてください!⬇︎