当ブログはフランス料理をメインにしていますが、フランス料理といえば「綺麗な盛り付け」というイメージが強いと思います。高級なお店に行くと綺麗な盛り付けのお料理が出てきますが、最近では割とリーズナブルなお店でも見た目にこだわった料理が出てくることも多くなってきました。
写真映えの時代ですので味と同じくらい見た目も重要視されてきているのかも知れませんね。
今回は料理を綺麗に盛り付けるコツと、フランス料理界でよく見る盛り付けパターンをご紹介します。このパターンを真似していただければ割と簡単にきれいに盛り付けることが出来ると思います!
料理を構成するパーツ
料理を構成するパーツたちです。フランス料理では大体の場合これらを組み合わせて盛り付けしていくことになります。
メイン
⬆︎魚のポワレの焼き方より
まずメイン食材です。その料理のメインとなる食材で、メイン料理なら調理した魚やお肉、前菜なら魚のマリネなどの動物系、魚介系のものです。たまに野菜をメインにしたお料理もありますが。
このメインとなる食材も小さめにカットするか、少し大きめの塊で盛り付けつけるのかでも雰囲気違いが出てきます。フレンチやイタリアンですのでナイフを使うことができるので多少大きめでも問題ないのです。
ただあまり小さくしすぎても何を食べているのか分かりにくくなり、大きすぎても「アメリカのステーキハウスかよ」となってしまうのでほどほどに。
ソース
⬆︎ソース・ピストゥ(バジルソース)
フランス料理ではメイン料理にはほとんどの場合ソースが付いてきます。
ソースは料理の要になるので色味だけでどのソースにするか選ぶわけにはいきません。なので盛り付けでのソースの見せ方は、ソースをどう流すかになります。
綺麗な円形に流すのか線を描くように流すのか、またはメイン食材をコーティングする様に流すのか、やり方は様々です。
付け合わせ
⬆︎バイヤルディ
多くの場合はお肉やお魚と一緒に付け合わせを一緒に盛り付けます。付け合わせはじゃがいものピュレや野菜のソテーなどが定番ですが、この付け合わせで料理の彩が決まってくると個人的におもっています。
メイン食材やソースの色合いを見ながら足りない色を補ってあげるとバランスの良い綺麗な見た目になります。
逆に付け合わせを無くす、地味な色にすることで派手さを抑えて温かみのある素朴な見た目にしたり、繊細さがなくなることで豪快な料理に見せたりすることもできます。
ハーブ
ハーブは料理に香りをプラスするために添えますが、色合いにをつけるのにも役に立ちます。
ハーブといえば緑色の印象が強いですが、紅い色をしたアマランサスなどカラフルなものもあります。
ただハーブを使いすぎるとハーブの香りもその分強くなってしまうので、あくまでもメイン食材や付け合わせの色合いを補佐する程度の量にしておきましょう。
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ここまでのパーツを組み合わせるとこんな感じになります ⬇︎ ⬇︎
付け合わせの野菜の上にメインとなる魚を乗せ、周りに2種類のソースを線を描くように流してハーブで彩りを補っています。
ピューレ
ピューレはソースのような見た目ですが、料理に香りや味わいを補う、どちらかというと付け合わせに近いポジションだと個人的に思っています。もちろん付け合わせにピューレを使わないケースもあります。
簡単に言うと野菜やフルーツなどをすりつぶしてペースト状にしたものなので多少は色合いでどんなピューレを使うか選んでも大丈夫です。
ピューレもどう流すか自由に決めてデザインすることができますが、ソースと似ているため主従関係がわかりやすくしておく必要があります。
主役は肉や魚で準主役はソース、ピューレは脇役なのでどっちがソースかピューレかわかりやすいように、肉や魚の近くにソースを流し、ピューレを少し離れた位置に流すなど少し工夫が必要です。
パウダー
こちらは使う頻度がそう高くないパーツです。繊細な料理には使うことがありますが、豪快な料理や素朴な料理には使うことは滅多にありません。
お皿の端の方にパラっと散らすとアクセント的な色合いで繊細さを演出することができます。
オイル
オイルも使用頻度があまり高くないかも知れません。料理の仕上げにオリーブオイルをかけることもありますが、それと同様に料理に香りをつけることができます。
特に普通の油にスパイスやハーブの香りと色をつけた、フレーバーオイルを用いると香りがグッと良くなるのと同時に色味もプラスすることができます。ただやはりオイルですので、あまりかけすぎると油っぽくなってしまうので注意しましょう。
その他の飾り
ハーブやパウダーの他にもチュイルなどのパリパリ、サクサクとした食感のものを添えることもあります。
チュイルは生地を焼いたものなので形をある程度自由に形成することができるため、デザイン性を出しやすいと思います。
また食紅やイカ墨などを生地に混ぜ込めば鮮やかな色をつけることも可能です。
盛り付けで意識すること
食べやすいように
まず盛り付けで大事になるのが「食べやすさ」ですね。いくら盛り付けが綺麗でも、アーティスティックすぎて食べにくかったら料理の美味しさも半減してしまいます。ただ「食べやすいように小さくカットしておくべき!」とかではなく、右利きであれば右手にナイフ、左手にフォークを持っていることを考えながらどの向きで食材を置いたら良いか等を考えたり、どんな盛り付けにしたらフォークでも食べやすいかなぁと考えることが大切です。
立体的に
ここからは見た目の美しさを追求する上でのポイントです。
まず綺麗な盛り付けを心がける時によく言われるのが「立体感を出す」ことです。料理はお肉や野菜などの「個体」を使うので、傾けたり重ねたりすることで立体感を出すことができます。食材を表面的にペタッと置いたような盛り付けよりも、この立体感を上手くつけた盛り付けの方が一般的に綺麗だと言われています。
ただあまりに立体感を追求するあまり食べにくくなってしまうのも良くないので、そこは少し注意です。
まあスープなんかだと立体感は出しにくいですし、あえて表面的に盛り付けて絵画のような美しさを出した盛り付けなんかもあるので、立体感さえ出したけばいいというわけではないのですが…。
ですがやはりこの立体感をつけるセンスを身につけておくと応用はかなり効くので断然覚えておくことをオススメします。
余白を残す
盛り付けには余白も大切です。余白とはお皿に何も乗っていないスペースのことで、この余白があることで全体がすっきりとして見えます。
あまりにお皿いっぱいに料理を乗せるとごちゃごちゃとした印象を受けやすくなってしまいます。足の踏み場のないような物で溢れた部屋よりも、しっかりと整理されてちゃんと床が見える部屋の方が綺麗だと思いますよね?
じゃあ余白を作るにはどうしたらいいかと言うと、立体感を出しましょう。また立体感かよって感じですが、食材を重ねたりして一点に集めてキュッとすることで余白が生まれやすくなります。
もっと手っ取り早く余白を出す方法としては、大きなお皿を使うという手があります。単純にお皿が大きくなれば余白も大きくなりますね。
普段家庭で使っているサイズのお皿は良くも悪くもちょうどいいぴったりサイズなので、綺麗に盛り付けようとしても余白が生まれにくくなってしまうのです。
食材の見せる面を決める
⬆︎牛肉の低温ロティ
次は食材についてです。
見せる面とは何かと言うと、牛肉ならばお肉の断面、魚ならばパリッと焼いた皮目などです。
お肉には種類が色々とありますが、牛肉や鴨肉などの赤い肉は、こんがりと焼いた表面よりもレアっぽく火入れされたロゼ色の断面が見えるように盛り付けると綺麗に見えますし、鶏肉などの白いお肉やお魚なら、パリッとこんがりと焼いた皮目が見えると美味しそうに見えますよね。
このようにどの面が見えるように、上になるように盛り付けるかを考えるだけで料理の見た目がグッとよくなります!
盛り付けのタイプ
次は具体的にどんな盛り付けパターンがあるのかを見ていきたいと思います。
今回は「◯◯タイプ」と名付けていますが、これは便宜上私が勝手に読んでいるだけです。
それぞれポイントを少し書いているので、これらを参考にご自分で盛り付けをアレンジしていただけたらと思っています。
シンプルタイプ
⬆︎牛ハツのロティ
真ん中にお肉とソース、その奥に付け合わせ、手前にアクセントとしてピューレを添えた、シンプルなタイプです。
付け合わせとメイン食材の位置がハッキリめに分かれているオーソドックスな盛り付け方ですね。
先程言ったようにお肉の近くにはソース、少し離れたところにピューレを流すことで、どちらが主役か脇役か分かりやすくなります。また、シンプルタイプはお皿の真ん中にお肉とソース、その後ろに付け合わせというシンプルさなので汎用性は結構高いと思います。
そんなに難しくない上に結構きれいに見えるので最初に身につけておくといいと思います。
ちょい端タイプ
メインとなる食材を真ん中ではなく少し端に置く盛り付け方です。
ソースをお皿の真ん中に流し、真ん中よりちょい右にメイン食材を置くことで、ファッションで言う「抜け感」のような雰囲気を演出し、オシャレっぽく見えます。
ずらす方向は、食べる人は(右利きという前提で)左手でフォークをもっているので、食材の左側にソースがあるとつけやすくなるようにセッティングしています。
深皿タイプ
底が少し深くなっているお皿に盛り付けるタイプです。料理全体をコンパクトにまとめることができ、さらに広がった縁が余白としても活きてくれます。
写真はパスタですが、特に煮込み料理などのソースをたっぷりかける料理にも向いています。
不規則タイプ
⬆︎白身魚のマリネ
上記の写真では薄くスライスした白身魚のマリネ、ハーブ、渦巻状に丸めたズッキーニなどを盛り付けてあります。
マリネとハーブをきっちりと分けずに全体をランダムに配置する様に盛り付けます。ランダムに配置するには全体のバランスをよく見ながら色味や形を整えなくてはいけないため、多少慣れやセンスが必要かもしれません。
ただこの盛り付けは、レストランで使われることも少なくなく綺麗は綺麗なんですが、メインの食材がなんなのかパッと見よくわかんないのが欠点だと個人的に思っています。
のっけ型
付け合わせの上にメインとなる食材を乗せてしまう盛り付け方です。
食材の上に食材を載せるので単純に高さが出しやすく綺麗に見えます。また、少し食べにくくはなりますがメインとなる食材から流れ出た肉汁や旨味を下の付け合わせが逃さず吸ってくれるという役割もあります。
ポイントとしては、下の付け合わせが隠れないように少し広めにセットしてあげること、高くなるにつれてだんだん小さくなるように盛り付けることで締まりのある見た目になります。
⬆︎ちょっと下手な図ですが、こんな感じに高くなるにつれてだんだん小さくなるようなイメージで盛り付けましょう。
ソースの上タイプ
ソースを広めに広げてその上にメイン食材を置くタイプの盛り付けです。ソースとメイン食材が一か所に集中しているため、一体感のある見た目になります。
ただ厚みのない魚などをペタッと置いてしまうと、なんともかっこ悪い見た目になってしまうので、ある程度厚みのある食材で使うか高さが出るように工夫すると綺麗に見えます。
上の写真も平たい魚を使っていますが、魚の下にナスのペーストを盛り付けて高さを出し、上に付け合わせを乗せて立体感を出しています。
盛り付けを上達させるには
数をこなす
綺麗な盛り付けが出来るようになるには、多少慣れが必要です。
最初は上手くできなくてもどかしいかも知れませんが、スポーツや楽器のように繰り返しやっていくうちにだんだんと上達してきますよ。自分にセンスがあるのか不安て方もいるかも知れませんが、盛り付けは繰り返していくと絶対に上手くなるのでご安心ください。
写真を撮る
自分で盛り付けた料理の写真を毎回撮ってみましょう。当たり前ですが料理は食べたらなくなってしまいます。なので過去に自分がどんな料理を作ってどんな盛り付けをしたのか確認できるように写真を撮っておくのが大事になってきます。
例え盛り付けが失敗したとしても写真は撮りましょう。なぜ上手くいかなかったのかを理解することはとても大事です。
逆に満足いく仕上がりだったとしても、後から見返すとなんか微妙だなと思ったりもします。その時にどこが微妙なのか、なにが原因なのかを考えることでその反省を次に活かすことができます。
綺麗な盛り付けの料理を見る
綺麗な料理を見ることでも感性が磨かれていきます。別に高級店に食べに行けと言っているわけではなく、盛り付けの勉強をするのなら料理の写真を見るだけでいいんです。
なので食べログなんかで盛り付けの綺麗な料理の写真を片っ端から見て、「こういうやり方もあるのかぁ」と参考にしましょう。どんな高級店でも食べログで写真を眺めるだけならタダですし(笑)
そして目に留まる料理があれば、その盛り付け方をどんどん真似してしまいましょう。料理には著作権がないのでいくらでも真似し放題です。
やっぱりお皿を買う
宣伝とかでは全くなく、やはり盛り付けをする上でお皿というのはかなり大事になってきます。私も100均で買ったお皿で試行錯誤していてもあまり綺麗になりませんでしたが、ちゃんとしたお皿を買ってからはグッと良くなりました。
いろんな種類のお皿がありますが、盛り付けの練習するのに向いているのは、やはり面の大きい真っ白な模様のないお皿がいいと思います。
しつこいかも知れませんが、面が大きいと余白が出しやすいので断然オススメです。また、白いお皿はソースの色が映えやすいため綺麗に見えます。黒いお皿だと白いソース以外の色が少し見えにくくなってしまいます。白いお皿の方が何にでも使えて汎用性が高いため、どれかひとつ選ぶなら大きい白いお皿が断然オススメです!
今回の記事はこれで以上です。
最後までお読みくださりありがとうございました!!